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せていただきたいなと思います。
朝日町といっても、北海道の方でもどこにあるんだかよくわからないというところです。上川管内で、旭川から北の方へ80キロほど上がったところの山合いの町で、人口は2000人ほどしかおりません。もう村という状態でしょうかね、人口規模からいきますと、そこにホールを建てたいという首長の意向がありまして、ただ専門ホールを建てるほどの人口を抱えているわけでもありませんし、近隣の人口を入れてもわずか3万5000人ぐらいしかいませんから大きいホールも必要はない。300のシアターと、あと冠婚葬祭とか宴会ができるバンケットホールをあわせ持って、それにいろんな部屋をつけた複合施設をつくろうということで、サンライズホールという名前の複合施設をつくりました。平成6年9月にオープンしましたので、ちょうど2年が経過したところです。
その施設に関しては教育委員会の生涯学習係が担当という話です。教育委員会の社会教育担当が何人いるかといいますと、僕を入れて3人しかいない。3人で社会教育を担当し、公民館の事業を全部持って、公民館図書室もこの中に入っていますから、それの蔵書管理から何から全部やって、さらにホールのボイラーの世話から企画、運営、後始末までやります。ただ唯一救われるのは、残業手当が出ますので、あとはもう体を壊すか、家庭を崩壊させるか、早目に替わるかどれかしかない、結構そういう状態になりながら、それでも2年間来ました。
一番最初にホールを建てるときに、このホールはどうやって動いていくんだろうねという話になり、やはり一応行政側としても話をしていまして、また住民の方がどういうふうにこれを見てくれるんだろうか、また参加してくれるんだろうか。今までそういうハードは一切うちの町はなかったものですから、その辺の議論は1年半ぐらいつづきまして、結局、住民の方にアンケートをとってみたり、各種団体に意向を聞いてみたりということをしながら探っていったわけですけれども、ほとんどの住民の方の頭の中にはホールという概念がない。だから、できたらここで何をしたいですかとか、どんなものが見たいですかとか、どういうふうに使ってみたいですかということを聞いてみても、見たいものは歌謡曲、演歌、アイドル、お笑いしか出てこない。うちの町にクラシックファンなんていうのは存在しないわけでして、いてもお一人かお二人ですね。まして芝居大好きなんていう人は多分いないですしね。それ以外の演目に関しても、ちょっとうるさいぞなんていう人はもう多分いないでしょうね、そういう状態だったんです。
当初は、このホールができたことによって、住民の方にある程度イニシアチブをとって

 

 

 

 

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